【ネタバレなしガチレビュー/評価】OMORI(オモリ)

独特な雰囲気を醸し出すサイコホラーRPG


【基本情報】
商品名:OMORI
販売元:OMOCAT
開発元:OMOCAT
ジャンル:RPG
プレイ人数:1人
ローカル/インターネット通信:なし

【公式サイト】
OMORI 公式サイト

【対応機種:発売日(日本語版)】
STEAM(Win,Mac):2021年12月16日
スイッチ:2022年6月17日
XBOX one/X|S:2022年6月17日
PS4:発売予定

【販売形態】
パッケージ(スイッチ版のみ)
ダウンロード

【DL版の容量】
STEAM:2GB
スイッチ:1.9GB
XBOX:2.7GB
PS4:未確認

【税込販売価格(税率は記事作成日時点)】
STEAM:1,980円
スイッチ_パケ版:4,400円
スイッチ_DL版:2,980円
XBOX_DL版:2,980円
※2023年1月19日時点ではゲームパス対応
PS4:発売予定

【追加DLCの情報(記事更新日時点)】
なし

【レビュー環境】
レビュー機種:スイッチ
プレイしたVer:1.03(2023年1月19日時点)
クリアプレイ難易度:選択なし
クリア時間:20時間
総プレイ時間:50時間

【記事作成】
2023年1月19日

【記事更新】

本ゲームの採点の仕方について

①基本的には100点満点でクリアレビューしていきます
(3,500円以下の低価格ゲームは10点満点)
②価格適正度は5段階。ゲーム内容ではなく販売価格が適正かどうかの評価になります
③S〜Gは一定の点数で区切ったオススメランクです
④クリア時にプレイしていたアップデートVerを元にレビューしています
⑤採点は相対評価。レビュー点数は変動することがあります
⑥ゲームのネタバレとなる内容は避けております
他のゲームレビューを確認する(点数ごとにまとめた一覧ページへ飛びます)

俺のレビューランク
良ゲー
俺のレビュー点数
10点満点評価
(低価格ゲーム)
価格適正度
5段階評価
【優/良/普/微/悪】
8
Meta score
海外メディアの
平均点
User Score
海外ユーザーの
平均点
Meta score
リンク飛び先
87 9.2 OMORI_Meta scoreリンク

↓以下ガチレビュー

GOOD & BADポイント 簡易まとめ

・考えさせられる、心動かされるシナリオ
・絵が動いているような可愛らしいビジュアル
・とっつきやすいコマンドRPGシステム
・思ったよりやりがいのあるボス戦(一部)
・ゾワっとするホラー要素
・価格以上に満足するゲームボリューム
・多様で盛り上がる戦闘BGM

・序盤は世界設定が把握しづらくゲームに入り込みづらい
・あまり関係のないNPCの会話パートが長くダレやすい
・戦闘の立ち回りや育成の自由度が低く、RPG要素は弱め
・イベント戦、演出重視の戦闘パートが多い

シナリオ

【あらすじ】”あること”がきっかけで引きこもっている主人公。自分と向き合うことができるのか

”あること”がきっかけで引き篭もっている主人公『オモリ』は、
一面真っ白の奇妙な場所『ホワイトスペース』と呼ばれるところでほとんどを過ごす。

『ホワイトスペース』から出ることはできるが、
現実世界とは思えないようなエネミー(敵)が存在する不思議な世界だった。
外へ出ると引き篭もっていたはず?の『オモリ』に友達は駆け寄り一緒に遊び出す。
遊びの流れで友達の一人である『バジル』の家に行くことになり、
皆で昔のアルバム(写真)をみていたが、突然皆の前から姿を消してしまった『バジル』。
オモリと友達は行方不明になった『バジル』を探すために不思議な世界を旅することになる。

不思議な世界、不思議な生き物。
行方不明のバジル。

そして、『ホワイトスペース』に引き篭もって?しまった理由。
旅を続けることで真実に気づき、”大事な選択”をすることになる。

探索を進めることで近づく真実。真実に近づくほど進めたくない探索

序盤はプレイヤー側への情報が一切なく、
”よく分からない世界をよく分からずに進めていく”ことになるので、
OMORIの世界にイマイチ入り込みづらいが、
ゲームを進めることで『オモリ』や友達のことが良く分かってくる。
良く分かってくるからこそ辛くなり、自分だったらどう思うのか・・・
ふと考えてしまうような心動かされるゲームだった。

「魔王を倒して世界を救う!」
というような、派手で爽快感のあるシナリオというわけではないので、
そのような類を期待している場合は注意が必要。
また、”自殺や鬱の描写”についても多分に含まれているため、
こちらについても苦手な人は要注意。
(ゲームを起動すると最初に警告が出るほど多く含まれています)

探索する世界は明るくファンシーなビジュアル。
そんな世界で展開されるポップなシナリオの中に時折混じる重く暗いシナリオが、
独特な雰囲気を出していて惹かれる。

やがて、あなたが選んだその道が、あなたの運命を決定づけるでしょう。
おそらく……他の誰かの運命も。

OMORI ストア紹介ページより
▲現実の世界みたいな風景。一体どっちがOMORIの本当の世界なのか

もっと直接的な表現や描写があっても良かった

シナリオを進めていけば大まかな内容や『オモリと友達』のことが分かってくるが、
直接的な表現が控えめでシナリオ展開が少し分かりづらい点もあった。
(一部画面が暗すぎて見落としやすい点も原因としてある)
意味深な台詞回しが所々あったので、そのような部分も含めて話の流れをおさらいしてくれるパートが欲しかったところ。

表現を曖昧にすることで周回プレイの意味や考察の余地を与えられるが、
シナリオの内容・テーマ的には、
「ゲームが終わった後にプレイヤーがどう感じてくれるか。どう考えてくれるか」
という方向に持っていくことが重要だと思うので、
分かりやすく顛末を伝えて締めた方がスッキリした形で終われたと思う。

エンディングの後、
「○○ってどこかで説明あったっけ」「これどういう状況?」など
置いてかれた部分が気になってしまい、余韻に雑念が混じってしまった。

エンディング後はどうなったのか・・・

『OMORI』の謎自体は解けるが、解けた後の結末までは描かれていない。

「プレイヤー自身がその後の展開を自由に考えて欲しい」
と開発者が意図して用意した部分だと思うし、作品という意味でも綺麗に終わっていると思う。
ただ、個人的にはどんな結果でも良いからエンディング後の展開も見たかった派。

このゲームは『主人公=プレイヤー』の図式が成り立たず、
プレイヤーは主人公と友達を見守る傍観者になるので、
どんな結末でもオモリと一緒に受け入れて考えてみたかった。
(人によっては気持ち良くゲームを終われないので難しいところだとは思うが)

キャラクター

仲の良い5人の友達!不思議な世界に住む魅力ある住民もステキ

お絵描きしたような可愛らしいキャラデザが特徴!

左から、
弟であるオモリのことが大好きなお姉ちゃんの『マリ』
かちきでパワフルだけどかわいらしさも兼ね備えてる『オーブリー』
オモリの親友でカメラが好きな『バジル』
バカだけど明るく周りを元気づけてくれる『ケル』
ケルのお兄ちゃんで何事においても頼れる『ヒロ』

5人に主人公の『オモリ』を加えた6人がこのゲームのメインキャラクター。
どのキャラクターも個性的かつ純粋なキャラクターなので好きになる。

シナリオの項で触れたように『バジル』は皆の前から姿を消してしまうが、
『バジル』のことを大切に思う皆は、決してあきらめず・・・探しにいく。

また、この世界の住民はぶっ飛んだ独特な人が多いので、
『オモリ』達に絡んでくるキャラクターやエネミーにも注目したい。

ゲーム性

シナリオ重視でアドベンチャーパートの多いコマンドRPG

『OMORI』はどちらかというとシナリオ重視で作られており、
コマンドRPGシステムが軽めで付属した作品。
会話や探索するアドベンチャーパートが多かったり、キャラクターの育成要素が薄かったりと、
コマンドRPG目的でプレイすると物足りなさを感じるだろう。

独自システムを搭載していたり、歯ごたえを感じるボス戦もあったりと、
光る部分もあるのでプレイする価値はあると思う。
コマンドRPGの部分については下記で細かく紹介していく。

シンプルなコマンドRPGに独自の要素を追加

シンプルなコマンドRPG

『オモリ・ケル・ヒロ・オーブリー』の4人パーティで戦うシンプルなコマンドRPG。
仲間は4人から増えることはなく、育成面ではプレイヤーの介入ポイントは無い。
装備に関してもフィールドで手に入る物をたまに入れ替えるくらいなので、
育成〜戦闘周りはかなりシンプルな出来になっており、カスタマイズ性が無く戦闘の幅は狭い。

セーブできるポイントが決まっているので、
雑魚に負けないようにセーブポイントを目指すのは昔ながらの緊張感がある。

UI周りは特別最適化されている感じはないが、ゲーム性自体にカスタマイズ性が無い分、
凝った調整でなくてもストレスは溜まりづらいと思う。

独自の要素『感情システム』

毒や混乱などの状態異常は存在しないが、独自要素として『感情システム』がある。
感情は『いらいら』『にこにこ』『しょんぼり』があり、
それぞれの状態になるとメリット・デメリットに加え、相互関係によるダメージ補正がある。
『感情システム』は『いらいら→むかむか』のように、さらに上の状態が存在しダメージ補正も大きくなる。
第一段階では補正の意味が薄くて、対になる感情をわざわざ合わせる必要はないが、
上位の感情が出てくるボス戦のタイミングで『感情システム』が効いてきて、
脳死攻撃がしづらくなる。

システムが面白いし、世界設定に馴染むような『感情』という表現は非常にGOOD。
OMORIを楽しめるスパイスになっているのは間違いない。

スキルの装備は4つまで

レベルが上がると各キャラごとに固有のスキルを習得する。
どのような戦闘バランスを意図したのかは不明だが、
覚えたスキルは4つまでしか装備できない仕様になっている。
感情システムによる有利不利があるのにスキルが4つしか装備できないと、
初見のボスでは効果的な感情変化スキルで対応ができない。
また、中盤から露骨に強いスキルが登場するので、スキルの付け替えを頻繁に行うシーンも無い。
結果的には戦闘の自由度が狭くなる窮屈な調整かなと思うが、このゲームにおける唯一のカスタマイズ要素でもある。
ボス戦では負けてもリトライができるが、
その場ではスキルの付け替えができない仕様もミスマッチ。

思っていたより歯応えのあるボス戦!ただし、ガチれるボスはごくわずか

プレイ前はカジュアルな調整でサクッと勝てるくらいのバランスかなと思っていたが、
ボス戦はそれなりの強さに仕上がっている。
上位の感情状態を使ってくるボスだと対策しないとダメージが大きいため、
消費アイテムの使用や仲間の感情変更など、状況にあわせた立ち回りが必要になってくる。
ただ、仲間が覚えるスキルは露骨に強い物が用意されているので、スキル選びの幅は狭い。

また、一部ボスは演出重視のイベント戦みたいな形式で用意されており、
ガチで戦えるボス戦が少なくてRPG部分で物足りなさを感じる。

進行しているルートによっては、強めのボスと多めに戦うことができるので、
片方のルートのみ攻略している場合は印象が少し変わる。

ルート分岐の詳細については次項で紹介。

選択肢や分岐はあるがプレイヤーが意識的に選択するタイプではない

進行ルートの分岐やエンディング分岐があるが、プレイヤー側は分岐ポイントを明確には読み取れず、「気づいたらこうなっていた」という形でゲームが進みやすい。
エンディング分岐は意識的な行動が必要になるので、
どちらかというと隠し的な位置付けで用意されている。

OMORIはプレイヤーの意志を反映していくタイプではないので、
「自分の考える選択によって展開が変わるシステム」を期待している人は注意。
(選択肢や分岐を明確にして、プレイヤーに考えさせる構成が良いという話ではなく)
主人公は無口系でプレイヤー名を自由に決められるタイプだったので、
序盤プレイでは自分の行動が影響していくゲームとして勘違いしやすいと思う。

このゲームは序盤の選択で2つのルートに分かれる大きなルート分岐がある。
ルートごとのコンテンツバランスが極端なので、
進んだルートによってこのゲームの印象が変わるだろう。

各ルートの特徴は以下。

◆Aルート
・このゲームの結末がみれる。いわゆる真エンディングに行くことができる
・会話の多いアドベンチャーパートが長め
・RPGパートのボスの種類が少ない
◆Bルート
・真エンディングには到達できない
・RPGパートでのボスの種類が多い

Aルートではこのゲームの結末と向き合うことができるが、ボスの種類が少ないのでRPGとしては物足りなくなる。
また、会話がメインのアドベンチャーパートが多めなので、RPG要素を期待するとゲーム進行が少しダルく感じるかも。
物語が核心に迫ってくると結末に向けての興味がグンっと上がるので、
後半の会話量は多くても特別気にはならなかった。

Bルートではなんと真エンディングに辿り着けない。
ルート分岐が序盤で用意されているので注意が必要。
個人的には周回プレイするしない問わず、最初はAルートに進んだ方が楽しめるかなと思う。

※ルート分岐が気になる人は隠しボタンにて紹介しているのでクリックしてみてください※

 
プロローグの昼の現実世界で自宅の玄関を叩くケルに対応すると、
真エンディングをみれるAルートへ。
Aルートでもエンディングの分岐はありますが、最終盤での行動に影響するので、
それまでにセーブデータを分けていれば問題はないです。

ルートごとにゲーム内容が変わるので、OMORIは2週分楽しめるだろう。
ただしルートの違いを大きく体験できるのは終盤からになるので、
それまでの共通ルートの周回プレイは、正直少しダルめではある。
1週目では良く分からなかった演出や会話の意味を理解しながらプレイすることができるので、
そういう点に着目すれば、2周目でも違った視点で楽しむことができる。

周回要素はあるのに、『引き継いでニューゲーム』がシステム的に用意されていないのは残念。
難易度解放や隠し要素解放などもあれば、2周目がより楽しめそうなのに。

本作の特徴!ゾワっとする『ひきこもり×鬱ホラー』

OMORIを語る上で外せないのが『ホラー要素』。
ビクッとする恐怖というよりは、ゾワッと不安になるような怖さを演出しており、
ゲーム体験をより濃いものにしている。

ホラー演出に力を入れている反面、画面が暗く分かりづらいところも正直あるので、
明るさ調整のオプションは欲しかった。
部屋を暗くすれば見やすくなるので、プレイヤー側の工夫も必要だ。
(内容の影響もあり、部屋を暗くするとプレイヤーの気分も重くなると思うので適度な範囲で)

日本語訳は問題なし!

OMORIは海外のゲームだが、日本語翻訳は完璧で問題なし。
会話の硬さもなくキャラクターの特徴もうまく表現できていると思うので、
日本語化についてはストレスなく楽しめるだろう。

家庭用版とPC版(スチーム)の違い

家庭用ゲーム機版では価格が1000円ほど高いが、いくつかの追加要素がある。

・おまけボスの追加
・ボスラッシュの追加
・ゲーム画面のフレームを変えられる

といったところ。
ゲームシナリオを補完する要素はないので、
PC版をプレイした人はあらためてプレイする必要は特にないかなと思うし、
これからプレイを考えている人も価格重視でPC版という選択でも問題ないかなと思う。

スイッチでは手軽に遊べるし、エックスボックスではゲームパス(※)でお得に遊べる。

※ゲームパスは2023年1月19日時点の情報。今後遊べなくなる可能性はあります

音楽

思っていた以上に良曲多し!!

ひきこもり・鬱系RPGということだったので、
暗めの曲が多そうであまり期待していなかったが、蓋を開けてみれば良曲が多く非常に楽しめた。

その他

コストパフォーマンス・価格適正度について

片方のルート20時間ほど、周回すれば50時間近く遊べる。
なおかつ満足度もあるので、価格設定以上には楽しめるはず。

おわりに/総評

主人公にとって何が現実なのか何を現実としたいのか。
重めのテーマで考えさせられる独特のRPG『OMORI』をプレイ。
シナリオやビジュアルをはじめとした色んな面で
インディーゲームならではの尖り具合を感じられる作品でした。

コマンドRPGの存在が、半分以上はゲームの演出用に使われていた感じがあったので、
RPG周りがもう少し強いと個人的にはもっと良かったなと思うところ。

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コメント

  1. 匿名 より:

    この人がこのゲームに合ってなかっただけなのでは…
    コードギアスの最終回で生死か分からないから不満とか言いそう…

    • @いっき より:

      作品によるところです!ネタバレを含むので深く触れませんが、「主人公視点の仲間たち=仲間達の気持ち」「主人公=プレイヤー」というわけでは無いので、どうせならゲーム内で結末まで見守りたかったなと思いました。各キャラクターも魅力的なので、どのように受け止めて考えるかは気になります。
      他そのような演出で言うと、「テイルズオブジアビス」などの締めも結構好きですね。エンディングで明確にはしていませんが、ゲーム内の情報をもとにプレイヤーがどのように受け取るのかが。
      コードギアスは分からないので何とも言えません!すみません!

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